いま、相続制度の見直しが行われているのをご存知ですか。また、私たちが意見を伝えることが出来るのを知っているでしょうか。

 

この度、改正試案がまとめられたとの報道がありました。自宅不動産についても見直しが行われ、婚姻20年以上の夫婦の場合、生前や遺言で贈与を受けた住居は、遺産分割の際、取り分計算から除外する、となったそうです。日本では、故人の自宅不動産が一番大きな相続財産となることが多いため、注目される内容です。

 

相続というのは、家族の数だけ事情があり、そう簡単なものではありません。改正の理由について、残された親の生活に配慮したとなっていますが、家族の事情は家族によって様々です。

 

親のどちらかが亡くなった後は、なるべく子に相続させたいと希望する親もいます。親の認知症の問題もからむと、どの様な形がいいのか、とても難しくなります。

 

また、婚姻20年以上の夫婦であっても、再婚同士、両方に連れ子があっての20年経過の場合もありますし、子世帯が住居問題に悩んでいる場合もあるかと思われます。世の中には、本当に様々なケースがあるわけです。

 

先妻の子と後妻の子、といった関係のように、法定相続人同士が顔を合わせた事がない、というのはよくあることです。だからこそ、法定相続人どうしが、正月やお盆の帰省などに全員が揃う家族というのは、それだけで恵まれている環境だと思って下さい。せっかく顔を合わせているのでしたら、親が元気なうちに、親の介護や亡くなった後の事について、家族で話し合っておくことが大切です。

 

まだ少し先になりますが、8月からこの改正案について意見公募(パブリックコメント)が実施されるそうです。
ちなみに昨年は、財産形成へ貢献が大きいと考えられる場合、配偶者の相続分を1/2から2/3へ引き上げるという案が出されましたが、意見公募後の要綱取りまとめで実施困難とされました。意見公募の力が大きかったのでは、と思います。

 

そして気になったのは、「相続人のうち最低限の取り分を得られない人がいる場合、金銭の代わりに引き渡す財産を、過度に受け取った相続人が決めることができる、といった内容も盛り込まれた」(7/19朝日新聞より)とのこと。

 

意見公募は、電子政府の総合窓口e-Gov(イーガブ)で受け付けています。この試案への公募の開始は8月からになりますので、各自ご確認下さい。それぞれの事情、それぞれの立場の人が意見を寄せることが大切なのだと思います。

 

公募は9月末まで実施される予定で、その後要綱案が作成され、通常国会への提出という流れになります。