誰にでもある人生のシミ

 

こんな事ってありませんか? なかったら、想像してみて下さい。

 

朝の出勤途中、服に小さなシミが付いていたのを見つけ、急に周囲の目が気になり出したこと。

 

目立つ胸元ではないけれど、油断をすると気づかれそうな所にポツンとシミが。

 

職場に着いて、シミの付いた服を引け目に感じ、今日一日何とか気づかれないようにしなければ、と思った瞬間、人は不自然になります。人の視線が気になったり、シミの見える角度を気にしたり、いつもより落ち着きのない一日を過ごすことになりそうですね。

 

一方、職場に着いたら、「知らない間にシミが付いててショックだわ!」と事実や気持ちをそのまま周囲に伝えていたとします。すると、その日一日、そのシミを隠すことなく、いつもの通り自然に振舞い、普通に過ごすことが出来るでしょう。

 

何十年と生きてきて、服にシミを付けた事のない人はいないと思います。人前でも、食事中に服を汚してしまう事はあります。

 

終活もこれと同じです。
服に付いたシミのように、人生には何かしら心に引っかかる事が誰にでもあります。人生にもシミは付きもの、というわけです。ここで言う人生のシミとは、「事情」という意味で使っています。いい事とか悪い事とかのジャッジはありません。

 

しかし、その捉え方や感情は、人それぞれです。

 

父親が再婚で、先妻との間に子どもが居るのに、後妻の子に、ほかのきょうだいの事を一切話そうとしない場合があります。自分の過ちが大きな原因となり別れた場合は、なお更かもしれません。

 

確かにあまり触れたくないかもしれませんが、それも大切な人生の一時期であったと受け入れていれば、必要な時期が来た時に、そこも含めて終活が出来ると思うのです。

 

数十年が経ち、後妻との子も40歳、あるいは50歳を過ぎたというのに、父親が以前のシミを隠し通して逝ってしまった時には、子どもたちは、心の準備が出来ていない状態で、相続が開始してしまいます。

 

この様に終活をするハードルは、意外と高い事をお伝えしておきます。

 

心の奥に引っかかている事柄がハードルとなります

 

再婚の様な分かりやすい事例でなくても、本人も認めないほど心の奥で気になっている事は、どんな事でも心のハードルになります。

〇若いころ親に借金の後始末をしてもらった
〇家族を裏切ったことがある
〇きょうだいと仲が悪い
〇仮面夫婦
〇結婚していない
〇子がいない
〇相性がいい子と良くない子がいる
等々。

これはほんの一部で、自分が引け目と感じた事すべてがハードルを作ります。例えば結婚していない事自体は、マイナスでも何でもありません。独身で幸せに暮らしている人はいくらでもいます。しかし、本人がそれをマイナスだと感じている場合、「あぁ、また少子高齢化の話か!うんざり!!」と拒否する人がいるのです。一方、「おひとり様だから終活をしておこう!」と独身であることをフラットに受け止める人もいて、全ては自分の心が決めている、と言えるのです。

 

自分の年齢を受け入れることさえ、しない人もいます。

 

素直さが決め手

 

自ら望まない人に、こちらからアプローチをすることはありません。でも、自分が終活を拒否したいからといって、終活に取り組んでいる人の気持ちに水を差したりは、してほしくはありません。人生は人それぞれ、そういう時は、そっと離れていて欲しいと思います。

 

いろいろ書きましたが、終活が出来る人というのは、素直な人なのです。「素直」というと柔らかな印象がありますが、終活を通して、素直さは強さだということを学びました。

 

終活が嫌いだからしたくないのではなく、自分の人生を見つめることが出来ないから、終活が嫌いなのです。そして逃げてしまうのです。

 

限りある命だからこそ、過去の自分・今の自分・これからの自分、全てを受け入れて、終活カウンセラーには、弱い所も心配な事柄も出して、話していただければ、と思います。

 

 

まだまだ柔軟な40代・50代のうちに、考え始めてみてはいかがでしょうか。素直さのハードルは、年々高くなります。人間、長く生きていると、どうもガンコになっていく人が多いようです。

 

今は終活に距離を持っている人でも、自分の人生をそのまま受け入れて、終活をしようと思った時には、いつでも来ていただければと思います。