TBS『噂の東京マガジン』(日曜)という番組があり、【噂の現場】のコーナーで8月6日に放送された、道路のセットバックの問題をご紹介します。
その現場は、横浜市港北区日吉の住宅街。真っすぐ続く道に、突然、道路上にはみ出して建てられた家が現れます。前の持ち主から地元の業者が土地を購入し、新しく一戸建てを建て、玄関横には“新築分譲中”の旗が立っていました。
番組に訴えたのは、この道沿いの住民たち。以前は4m幅に満たない道路だったため、住民は一律に1mセットバックして家を建てていました。いま、この一軒の建物だけが道路に飛び出し、しかもセットバック部分に側溝があるため、側溝をふさいでしまいました。
住民たちはこんな不安を口に出します。
・出っ張った壁に車をぶつけないか
・人の飛び出しがこわい
・夜間の視界が悪くなった
・側溝が詰まったら?
・役所に言っても「法的に問題ない」の一点張り
では、どうしてそんな事が起きたの言えば、理由は次の通り。
道路の反対側に新しく住宅地ができた時に、道路も6mに広がったそうで、横浜市によるとセットバックはその時に解除されていたそうです。しかし、不利益を与えるものではない、という理由で住民たちには知らせていなかったとのこと。
つまり、道にはみ出した家が建ったことで、今回初めてセットバックが解除されていたことを知ったわけで、住民たちはここに一番不信感や不満を抱いていたのでした。
つまり驚くことに、22年も前にセットバックが解除されていて、その道沿いの住民は誰一人その事実を知らなかったのです!
向い側の住宅地が出来る際に説明会を開きながら、セットバック解除の事は伝えなかったとは・・。横浜市は、番組の取材に対し、もし住民側からセットバックについての問い合わせがあれば、伝えましたよ、という答えでした。いかにもお役所的ですね。
しかし、今後はホームページなどでわかりやすく周知することとする、と方針を変更する回答を載せていました。これがテレビの力なのでしょうね。しかし、ホームぺージというのは、不動産に詳しくない高齢者には、分かりやすい方法なのかは疑問です。
ということで、業者の建てた家は法に則っているということになります。他のセットバックしていた住民も、今後建て替えの際には、順次1m道路に出して家を建てることが可能なのです。
しかし、それには側溝の問題があります。これを機に、住民たちは道路側に側溝を作り直すことを要求した方がいいのでは。
番組内では、税に関しての話題は出ていませんでしたが、セットバックは固定資産税にも影響することで、縦割り行政を越えて、市は横の連携を取りつつ、きちんと住民への説明を果たすべきだと思いました。元々人の土地を市が管理したわけですから、一般的な住民へのサービスというより、当事者住民としては、説明責任を果たして欲しいレベルだと思いました。
ちなみに番組取材によると、藤沢市は道路が広がっても、一度セットバックした所は解除をしないとのことで、自治体によってそれぞれなのです。
今回、セットバック解除によって1軒だけ家が飛び出している状況が起こりましたが、通常はセットバックが進まずに道路幅がデコボコしてしまう事の方がよくあるのです。そのケースで1軒だけ残っていた古い家屋を、とんでもない方法で解決した近隣住民がいました。それもいずれの機会に記事にして、ご紹介したいと思っています。