『住まいのダイエット』という番組があります。今回は、「愛する人が亡くなった時どうすればいいのか・・・遺品整理の極意!」と題して、遺品整理現場の様子の放送でした。片づけ指南は、かの断捨離の生みの親であるやましたひでこ氏。

 

片付ける家は一戸建て。かつて住んでいた90代の女性が亡くなってから、空き家になっています。5年間放置された家の中は、何度か片づけを試みては諦めた様子が見てとれました。家具の上、床の上・・あらゆる所に物が放置され、物に埋もれ、足の踏み場のない状況です。

 

依頼者は、故人のお孫さん(男性)。一時期は母親がそこに住み込み、祖母の介護をしていたとか。その母親も立ち会っているのですが、表情はうつむきかげんで重く、「今、(家の中を)見たくない。」というほど感傷的な様子です。

 

過去の片づけ失敗の理由は次の通り。
1.写真などが出てくると見入ってしまい作業が止まる
2.感傷的になり思い出のある物を処分出来ない
3.重度の認知症、しかも老老介護で辛い体験をしたためか、2階に上がれない

 

愛する人が亡くなった時、遺品の山をどうすれば良いのか、この問題に悩む人は多くいらっしゃるのではないでしょうか。

 

まず、やましたひでこ氏曰く、
「この空間をきれいに蘇らせることが一番の供養」
「残しておきたい思い出の証拠品を選び抜く」
とかく遺品整理には、物の処分に伴って“罪の意識”を抱きがちですが、「供養」という言葉で、前向きな気持ちを持たせていました。

 

片付いた後にその家に住むのは依頼者の母親1人。5個セットの食器は2個ずつ残し、残りの3個ずつ全て処分することが出来ました。この方法は、思い出は残り、量は減らせています。やました氏の遺品整理は、物を生かす人がいないということは、物も一緒に亡くなったことになり、家族が生かせない物は荼毘に付してあげる、という変え方なのです。
何をどうしていいのか分からなくて止まっている状態から、新たな基準をポンと与えられて、片づけへの道が開けていました。

 

いつもこの番組では、処分する物を量りにかけて「住まいのゼイ肉」と称し、数値化するのですが、今回のゼイ肉は1590kg、リサイクルに出して得られた金額は、4万円を越えました。やました氏から、「これを1人でやろうとしても、無理でしたよね。」と声をかけられると、母親は自分を責める気持ちから解放された表情に変わった気がしました。

 

最後の仕上げは掃除業者さんが家の中をピカピカに掃除して、みごと住むことの出来る家へと蘇りました。辛くて2階には行けない、と言っていた依頼者の母親でしたが、すっかり片付いたその部屋に立っています。
「ここはお祖母ちゃんの部屋でなく、もうお母さんの部屋。」
最後に依頼者が放った言葉が、とても印象的でした。介護が辛かったという母親は、物の処分と一緒に、その辛い記憶も荼毘に付した様でした。

 

最後の物の片づけだけは本人には出来ません。どうしても残された身内が、その役割を負うことになります。両親・義両親・おじ・おば・・・周囲を見回してみて下さい。身内のどなたかの最後の片づけに関わるかもしれない立場の方は大勢いらっしゃることでしょう。

 

遺品整理は故人のプライバシーに触れる場面でもあり、出来れば家族だけで片付けたいのが本心です。しかし、それで心身共に疲れてしまい、結局のところ放置してしまうのであれば、専門家の所へ相談に行ってみるのも、一つの解決です。

 

私自身、この番組、あるいは断捨離の回し者でも何でもありませんが、家族で遺品整理をされる方には方法の参考に、また様々なタイプのコーチが登場しますので、相談先・作業の外注先を見つけたい人にも、何かしらの参考になるかと思い、記事に取り上げてみました。もちろん、ブログその他インターネットを通じても、人柄や会社方針などの情報収集をし、相性の合うところを見つけていきたいものです。

 

そして気づいて戴きたいのは、自分も最後は片付けて貰う立場になるということ。それを忘れず、年を重ねるごと、暮らしを見直していきたいですね。